21:30
夜の東京駅にやってきました。まだ多くの人とクルマが行き交います。私は今から、尊敬する先輩のご実家がある青森県に向かいます。なぜこの時間の東京駅なのか。それは夜行バスで向かうからです。夜行バスは青森県民の重要なインフラ、そして、青春。ご両親に夜行バスで行くというと、「ノクターン号?…それともまさかパンダ号?」と聞かれました。青森県民から名前がパッと出てくるほど認知度が高いバスに乗らないわけにはいきません。
青森県弘前市に本社を置く「弘南(こうなん)バス」さんは1986年に弘前と東京のあいだで夜行バス「ノクターン号」を運行開始した高速バスのパイオニア。主に3列シートの「ノクターン号」シリーズ、割安な4列シートの「パンダ号」シリーズの2種類を展開しています。パンダとは言うまでもなく上野動物園のマスコットであるパンダのこと。
一方、昼行バスである「スカイ号」は「キング・オブ・昼行バス」と称されています。その運行距離は驚がくの715㌔、所要10時間50分。昼行バスとしては日本最強を誇ります。 2022年に「パンダ号スカイ線」に名称を変更し、パンダ号シリーズに仲間入りしました。
今回はパンダ号シリーズの1つであるパンダ号東京新宿線に乗車。こちらは夜行便で、上野駅ではなく東京駅と新宿駅の発着です。新宿駅で乗り、五所川原市で降りた場合の最大乗車時間は10時間40分。私は東京駅で乗り、弘前市で降りることにしました。
21:45
バスターミナル東京八重洲に到着。2022年に開業したということで驚きの綺麗さです。まるでホテル。「お乗り間違いにご注意ください」と繰り返し場内アナウンスされており、乗り場を間違える人も多いようです。
22:00
高揚感と過酷な旅への恐怖感が交錯する中、来ました!来てしまいました!パンダ号がバス乗り場に滑り込んできます。可愛い名前をしていますが、安易な気持ちで乗るべからず。前側5番席の予定でしたが、「車内凄い暑いんで。1人ずつ座ってもらってます」と後部の29番席に。運転手の方はかなり訛っており、一部聞き取れませんでした。これから青森県に行くんだと再認識します。
22:10
ついに出発。首都高に入り、北上していきます。都会の摩天楼から少しずつ景色が変わっていきます。都内で夜行バスを見かけると、飛び乗りたくなることがありますが、実際に乗って遠くに出かけるワクワク感は格別。いつか、目的地も決めずに夜行バスに飛び乗ってみたいです。
気になる運賃はカレンダーによって変動。今回は3900円という衝撃プライスでした。往復7800円。安すぎる。
22:20
夜行バスですので室内は消灯、カーテンを閉められるので、景色が楽しめるのは休憩場所だけ。ここからはカーテンの外にカメラを設置し、私は体を休めることにします。
4列シートでトイレは無し。スマートフォンへの充電可能な車両の導入を進めていますが、2023年3月現在、全車両への設置とはなっていません。
今回乗車したバスは2019年に発売された3代目三菱・エアロシリーズの後期型。高速バスとしては比較的新しく、車内は決して広くないですが、清潔感があり、しっかりコンセントもついていました。
23:15
普段は起きている時間ですが、バスの揺れが心地良く、うたた寝していると、最初の休憩場所である栃木県佐野市の佐野SAに到着(15分)。栃木県内最大のSAで、施設も充実しており、東京土産もギリギリ購入することができます。旅情を味わいたい方は栃木県民のソウルドリンク「レモン牛乳」をどうぞ。ノクターン号も停まっていました。乗り間違いにご注意を。
02:00
東北地方に入り、福島県国見町の国見SAで2度目の休憩(15分)。除雪の山が残っていました。お土産店などは営業しています。国見峠を越えれば宮城県です。まだ旅程の半分にも満たないでしょうか。闇夜を安全運転で走り続けてくださる運転手の方には頭が上がりません。
04:30
爆睡する中、岩手県紫波町の紫波SAで最後の休憩(15分)。雪がドッサリ積もっています。自動販売機以外は営業を終了していました。
耳栓、アイマスク、マスクで五感をシャットダウンし、ネックピローをつければ意外なほどに快適に眠れます。
06:20
ついに青森県に入りました。実はこれで47都道府県制覇だったのですが、記念すべき瞬間は…。なんと寝てしまっていました。起きて慌ててGPSを確認すると既に青森県に入っていました。29歳。本格的に全市町村を制覇し始めてから9年。何はともあれ、ついに47都道府県制覇です。
06:50
バスは予定より20分ほど早く弘前バスターミナルに到着。ここから人生初の青森観光が始まります。
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