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執筆者の写真うらのりょうた

三島村〜鬼界カルデラのまち〜

3つの島が連なるから三島村(みしまむら)。島の唯一の交通機関であるフェリーは週4回、鹿児島港から出港します。


終点の黒島・片泊港までの乗船時間は約6時間で、錦江湾(鹿児島湾)を出るまでに約2時間かかります。フェリーからは開聞岳はもちろん、長崎鼻、スヌーピー山、佐多岬などが見えるので、ここだけは船内でゴロゴロせずに甲板に出て是非景色をお楽しみください。


私が数えた限り、鹿児島港からの乗船客は私を含め8人でした。船員さんの方が多そうです。


フェリーがまず最初に向かう島は竹島。文字通り竹に覆われた島で、猛々しい岸壁と緑のコントラストが美しいです。

竹島

次に向かうのが硫黄島。硫黄島と竹島が含まれる「鬼界カルデラ」は過去1万年の中で世界最大規模の噴火を起こしており、九州南部の縄文文化を壊滅させ、ほぼ全ての命を奪いました。火山灰は関東、北信越地方の環境にも影響。硫黄岳は現在もランクAの活火山です。


島というよりは海のど真ん中に山がどっしり構えているようです。しかも、もくもくと噴煙が。この山は生きています。「凄いなあ」。日本でこんな近くで噴煙を見られる日が訪れるとは思いませんでした。火砕流の跡でしょうか、まるで恐竜の脚のように山と谷が連なっています。

硫黄島

と思ったら熊本県阿蘇市の米塚のような丸みを帯びた美しい山も。本当にこの島国はさまざまな表情を見させてくれます。

美しい山

港に入ってまた驚きです。なにか飲み物をこぼしてぶちまけてしまったのか。海が真っ茶色なのです。この島では青い空、青い海というのは常識ではありません。これは鉄分を含んだ温泉が湧き出ているからだそうです。日本の島の引き出しの多さ(=多様性)に驚きます。どれだけ多くの島に訪れても新しい景色に出会えます。

真っ茶色の海

さらに、港の方から何か楽しげな音楽が聴こえてきます。なんと、西アフリカの伝統楽器「ジェンベ」でお出迎え。

ジェンベ

最後に訪れたのは黒島。三島村の主要3島の中では最大の面積と人口を有し(といっても100人台)、大里と片泊の2港に寄港します。しかし、この日は波が高いことから片泊には寄港できず。公共交通機関がフェリーしかない三島村にとっては珍しいことではなく、動じない心が必要。

大里港

ちなみに、三島村の定住支援では子牛が1頭貰えます。

驚きの支援

十島村には7つの有人島がありますが、戦前は三島村の3つの有人島(上三島)を合わせて十島村だったそうです。当時の下七島は現在の有人7島に集団移住で無人島となった臥蛇島(がじゃじま)を加え、現在は有人島の小宝島を除いた7島。戦後、下七島は米国の占領下となり、日本の自治権は上三島のみとなりました。1952年、本土復帰を果たした際に上三島は三島村に改称され分村、下七島が十島村として新設されました。


そのため、現在でも両村は交流が盛んで、フェリーとしまがドックに入るときはフェリーみしまが、フェリーみしまがドックに入るときはフェリーとしまという形で融通を利かせているそうです。


また、十島村と三島村の村役場は鹿児島市に設置されています。これは国や県、村の業務などにかかる交通費などが増大するためで、同様の例は沖縄県石垣市に町役場を設置する竹富町を含めて国内に3例のみです。


「お兄ちゃん、靴あげようか」。余談になりますが、実はこの日の朝、鹿児島港に向かう途中で靴底が半分ほどべろんと剥がれてしまいました。靴屋は早朝のため当然開いていなかったので、ぺらぺらの靴底のまま乗船。私の足元を見た船員さんが気を利かせてくださり、「靴底やられたの?足何センチ?使ってないのあるから履いてみなよ」と奥から靴を取り出してきてくれました。この恩は一生忘れません。

ありがとう

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