世はまさに、大海賊時代!瀬戸内海は海賊によって支配されていました。…と書くとおどろおどろしいですが、我々日本人が思い浮かべるアニメや映画の海賊と、瀬戸内海の海賊は少し異なります。立場の弱い人々を襲い、金品を奪い取るなんて汚いまねはしません。海の安全を守る「海上警察」、そして、水上交通を支える「水先案内人」としての役割を担い、美しい瀬戸内海の秩序を守っていました。そして、普段は真面目に漁業をして生計を立てていたそうです。
今回の主役のまちは上関町(かみのせきちょう)。自治体の名称を聞いてピンときた方もいると思いますが、山口県西部に位置する下関市に対し、上関町は山口県東部に位置します。山口県内には都側から上関、中関、下関と関所が設けられ、船舶の取り締まりや通行料の徴収をしました。下関は現在の下関市、中関は防府市、そして、上関は上関町にあたります。新潟県の上越、中越、下越と同じネーミングですね。
海賊の中でも最大勢力を誇ったのが村上水軍。能島(のしま)、来島(くるしま)、因島(いんのしま)の三氏のゆるい同盟関係で成り立っていました。能島が瀬戸内海西部の拠点として築いた上関城は現在「城山歴史公園」として整備されています。村上水軍は戦国時代に入ると、中国地方で最大勢力を誇った毛利氏に加勢し、豊臣秀吉の海賊禁止令によって消滅しました。
上関町の最高峰である「上盛山(かみさかりやま=標高314㍍)の山頂展望台からは360度の大パノラマを楽しむことができます。瀬戸内海はもちろん、晴れた日には四国の佐田岬や、九州の国東半島も望めます。
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