1979年に人口107万人を突破し、北九州市を抜いて九州最大の都市となった福岡市。成長は21世紀に入っても続き、2011年に京都市を、2015年には神戸市の人口を抜き、2020年には160万人を突破するなど九州最大の都市としての地位を不動のものにしています。では、九州第2の都市はどこなのでしょうか。北九州市?熊本市?鹿児島市?長崎市?いくつかの項目で比較してみます。
人口
2022年10月1日の推計人口は
北九州市92.4万人
熊本市73.4万人
鹿児島市59.0万人
長崎市39.9万人
(参考)福岡市163.1万人
門司市、小倉市、戸畑市、若松市、八幡市の5市による大規模合併で1963年に九州初の政令指定都市となった北九州市がトップでした。しかし高度経済成長が終わりを迎えると、人口は1979年の106万9117人をピークに減少を続けています。一方、熊本市は周辺市町村の編入などで2010年に人口70万人を突破し、2012年に日本最南端の政令指定都市となるなど勢いがあります。
経済
2019年度の市内総生産は
北九州市3兆8120 億円(令和元年度市民経済計算)
熊本市2兆6600億円(令和元年度市町村民経済計算の統計表)
鹿児島市2兆0739億円(産業別市内総生産(令和元年度))
長崎市1兆6465億円(令和元年度 長崎県の市町民経済計算)
(参考)福岡市7兆7911億円(令和元年度 福岡市民経済計算)
こちらも高度経済成長をけん引した北九州市がトップでした。熊本市、日本の近代工業化発祥の地である鹿児島市が後を追います。
交通網/インフラ
北九州市は鉄道に加えてモノレールが走っていることが特徴。また、3大都市圏と広島市、福岡市、北九州市にしか存在しない都市高速が整備されており、都会的な景色が広がります。
熊本市、鹿児島市は北九州市から福岡市を経由して伸びる国道3号、九州自動車道、JR鹿児島本線、九州新幹線といった九州の大動脈が縦貫しており、大きな格差は感じさせません。
長崎市は戦後、九州を縦貫する大動脈からは外れてしまいましたが、長崎自動車道やJR長崎本線など福岡県と長崎県を結ぶ主要インフラが整備されています。2022年には西九州新幹線も開通しました。
また、熊本市、鹿児島市、長崎市はいずれも路面電車が走っていることが特徴です。
ちなみに福岡市はJRや私鉄の西鉄に加えて日本の9都市にしか存在しない地下鉄が走っており移動が便利。また、福岡空港が中心市街地から近いことも嬉しいです。
観光
2021年の観光客数は
北九州市110.5万人(令和3年次北九州市観光動態調査)
熊本市231.1万人(令和3年熊本市観光統計)
鹿児島市507.1万人(令和3年鹿児島市観光統計)
長崎市258.6万人(令和3年長崎市観光統計)
桜島など人気の観光地を多く有する鹿児島市が1位でした。
まとめ
数字だけを見ると福岡市に次ぐ九州第2の都市は北九州市となりそうです。
ここからは実際に訪れて感じたことや私感を含みますが、九州全体のバランスを考慮すると福岡市と同じ福岡県の北九州市よりも熊本市や鹿児島市の方が九州第2の都市としてバランスが取れている気がします。特に、熊本市は明治政府が「九州の中核都市」と位置付けており、政府の出先機関や企業の事業拠点も多数進出。
また、5市が合併して誕生した北九州市に比べると熊本市や鹿児島市の市街地の方がまとまりがあり、立派に見えます(北九州市の小倉駅も都会的ですが)。
長崎市は西洋に開かれた港として発展し、戦前は九州一の人口を誇った時期もあります。夜景や西洋建築など観光地としての魅力も出色。しかしながら、2022年時点で九州7県の県庁所在地別人口では佐賀県佐賀市に次ぐワースト2位まで転落しています。原因の1つとして考えられることが「坂のまち」で土地が少なく開発が遅れたこと。近年は長崎港を中心に再開発が進み、西九州新幹線の開業や地元のジャパネットたかたが800億円を投じる「長崎スタジアムシティプロジェクト」によって活気を取り戻しつつあります。
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