新潟県には、昭和天皇がご巡幸になられた際、「どうして千曲川が信濃川になるのか」という質問に県知事が答えられなかったという逸話が残ります。このように、日本には途中で名前が変わる不思議な川がたくさんあります。今回は代表的な5つの例をご紹介します。
河川法では下流の名前が採用されます。そして、「どこから流れてくるか」が名前に取り入れられることが多いです。例えば、信濃川は新潟県での呼び方が採用されています。長野県の人々は悔しい思いをしているように思われますが、信濃という名前が取り入れられているのでそれはそれで良い気がします。
信濃川(新潟県)千曲川(長野県)
「日本一長い川」といえば、学校では新潟県の信濃川と習いますが、長野県では千曲川と呼ばれています。全長367㌔のうち千曲川は214㌔にも及びます。名称の由来ですが、新潟県では信濃国から流れてくる川だから信濃川、長野県では川が千ほど曲がりくねるようすから千曲川と呼ばれるようになりました。水源の長野県川上村では神々の戦いで血潮が隈なく流れた様子から「血隈川」と言うようになったという伝説が残っています。
阿賀野川(新潟県)阿賀川(福島県)
日本で10番目の長さを誇る川で、信濃川と同じく新潟県を流れます。さすがは水が豊かな米どころ、酒どころといったところです。
富士川(静岡県)釜無川(山梨県・長野県)
釜無川と笛吹川が富士川町で合流し、富士川となります。名前の通り、富士山が語源という説が有力で、平安時代の更級日記には「富士河は富士山より落ちたる水」という一節もあります。実際には富士山の西側を流れ、富士山から流れてはいませんが、昔の人々は富士山と富士川の存在を結びつけて考えていたようです。富士川は山形県の最上川、熊本県の球磨川と並び日本三大急流に数えられます。
淀川(大阪府)宇治川(京都府)瀬田川(滋賀県)
965本と日本一支流が多い川。琵琶湖から2度も名前を変え、大阪湾へと流れます。西日本で最も流域人口が多く、関西人にとってはまさに母なる川です。
紀ノ川(和歌山県)吉野川(奈良県)
紀ノ川は奈良県内から和歌山湾へと流れる一級河川です。江戸時代、紀州徳川家によって大規模な開発が行われ、治水と利水の能力が飛躍的に向上しました。奈良県内では吉野川と呼ばれます。