瀬戸内海のワクワク感って計り知れません。ほかの海では味わえないこの感覚。どこからともなく波のように押し寄せる高揚感。この正体は何なのでしょうか。この正体こそが多島美だと思います。日常生活ではあまり意識しませんが、日本は島国です。本州や九州も島です。日本は7000近くの島々が連なった「オールアイランド国家」です。
「多島美」という言葉、辞書やウィキペディアには載っていなくても、島国で育った私たちの心の中には多島美を感じられる能力が眠っている気がします。私はカワウソが好きです。好きになったのは大学生のころのはずでしたが、最近小学生時代の修学旅行のアルバムを整理していて自分で撮ったカワウソの写真が何枚も出てきたことには驚きました。私はクルマが好きです。最近親に聞いて驚きましたが、私は0歳の時からクルマが好きだったそうです。何を言っているのかよくわかりませんでしたが、聞くと、立つこともできないころから網戸を必死に開けて、バルコニーの隙間から道路を走るクルマを目で追いかけていたそうです。三つ子の魂百まで。アインシュタインは「常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションである」という言葉を残しています。話が逸れましたが、ここからは私がときめいた日本の多島美をご紹介します。島国生まれのあなた、いや、世界中の人々に響くはず。
松島湾(宮城県)
松島や、あぁ松島や、松島や。まともな句を詠めなくなってしまうほどの美しさです。200とも300とも言われる多島美を堪能できます。リアス式海岸が沈んで山頂だけが残った地形と考えられています。そのそれぞれにドラマあり。例えば、4つの洞穴が特徴的な鐘島は打ち寄せる波の音が鐘に似ていることから名付けられました。仁王島は葉巻をくわえた仁王が鎮座しているように見えることから名付けられました。松島では遊覧船から多島美を味わうことが定番で、島々に関するエピソードもアナウンスされるのでオススメです。
英虞湾(三重県)
英虞湾(あごわん)は伊勢志摩国立公園内にあるリアス式海岸です。賢島など60近くの島々が浮かびます。伊勢志摩サミットが開かれるなど、世界に誇れる多島美ではないでしょうか。真珠養殖発祥の地でもあります。
瀬戸内海(本州、四国、九州)
明治ごろから世界が絶賛する多島美を有します。ドイツの地理学者・リヒトホーフェンは、「優美な景色で、これ以上のものは世界の何処にもないであらう。将来この地方は、世界で最も魅力のある場所のひとつとして高い評価をかち得、沢山の人を引き寄せるであらう」と称えました。世界で初めて旅行会社を創ったトーマス・クックは「私はイングランド、スコットランド、アイルランド、スイス、イタリアの湖という湖のほとんど全てを訪れているが、ここはそれらのどれよりも素晴らしく、それら全部の最も良いところだけとって集めて一つにしたほど美しい。(中略)我々はあまりにも豊かな自然の恵み、次々に移り変わって終わることを知らない景観の美しさに呆然としてしまった」と評価。ドイツ人の医師・シーボルトは、「この内海の航海をはじめて以来、われわれは日本におけるこれまでの滞在中もっとも楽しみの多い日を送った。船が向きをかえるたびに魅するように美しい島々の眺めがあらわれ、島や岩島の間に見えかくれする日本(本州)と四国の海岸の景色は驚くばかり」と絶賛しました。欧米人の高い評価を受け、小西和は多島美を保全するために「国立公園法」を制定し、瀬戸内海国立公園を日本初の国立公園としました。
九十九島(長崎県)
西海国立公園内にあるリアス式海岸です。園内には平戸・生月地域、五島列島地域も含まれており、それぞれの場所で多島美を堪能することができます。
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