日本3大急流の1つである球磨川が東西に流れる多良木町(たらぎまち)、あさぎり町、錦町の3町では、豊かな自然を生かした農業が盛んです。田畑を潤すために球磨川の水を引く灌漑工事が、鎌倉時代には既に始まっていたといいます。藩の支援は乏しく、子どもからお年寄りまで総出で手掘りしました。多良木町に立派な「百太郎溝(ひゃくたろうみぞ)」が完成したのは1710年。農民の努力の結晶です。
「日本遺産」や「世界かんがい施設遺産」にも登録されている百太郎溝。一風変わった名前は人名に由来します。球磨郡郷土読本によると、「堰構築も、幾度となくおこなわれたが、洪水期を迎えると、ひとたまりもなく崩壊し、ただ人々の失望を深めるにすぎなかった。ある時、庄屋の夢枕に水神様が立ち『袴(着物)に横縞のつぎをあてた男を人柱(ひとばしら)にたてよ』とのお告げがあり、百太郎がその犠牲となり、大石柱の下に生き埋めされることになった」。
百太郎は神へ供える生贄として埋められてしまったのです。事実なのか、灌漑の過酷さを例えた架空の話かはわかりませんが、球磨地方では「人柱伝説」として今なお伝承されています。
【人口】8752人
【面積】165.86 km2
【人口密度】52.8人/km2
【隣接自治体】球磨郡あさぎり町、相良村、五木村、水上村、湯前町
宮崎県:小林市、児湯郡西米良村
【交通】九州自動車道人吉インターチェンジから約30分
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