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執筆者の写真うらのりょうた

山口市は日本一"しょぼい"県庁所在地なのか〜魅力再発見の旅〜

山口駅は最小規模

山口県、そして、県都・山口市の代表駅である「JR山口駅」。ホームが2つ、線路が3本ある「2面3線」は都道府県別の代表駅としては最小規模です。また、1日あたりの利用者数1600〜1700人も最少規模。自動改札機も未だに導入されていません。では、山口駅がまちの玄関口である山口市は日本一"しょぼい"県庁所在地なのでしょうか。実際にまちを歩いて調査してみました。


駅前のようす

17時過ぎの山口駅。帰宅の時間帯とあって、駅のロータリーには送迎の自家用車が数台停まっていました。しかし、歩行者は少なく、想像以上にガランとしています。


駅の正面から続く「駅通り」は日没前にも関わらず人が1人も歩いておらず驚きました。全国の県庁所在地を訪れて、このような経験は初めてです。

駅通り

駅通りにある山口銀行山口支店。地元出身、石川佳純選手の元気が出るポスター

商店街のようす

駅からほど近いアーケードの山口市中心商店街に行くと、やっと人の姿があり、安心感を覚えました。しかし、シャッターを閉めている店舗が多く、お世辞にも賑わっているとはいえません。

山口市中心商店街

天井の球体モニュメントが印象的
観光地のようす

山口駅から徒歩で20分ほどの「山口サビエル記念聖堂」。フランシスコ・サビエルが山口県を訪れてから400年という節目を記念して1952年に建てられた教会です。1991年に全焼してしまいましたが、1998年に再建されました。2本の塔と三角錐をかたどった斬新なデザインが特徴で、平和の鐘がまちに鳴り響きます。薄暮だったためか、人影はありませんでした。

山口サビエル記念聖堂

さらに、徒歩で20分ほどかけて瑠璃光寺へ。西の京と称される山口市のシンボルです。シルエットが美しい五重塔で、日本3名塔の1つにも数えられています。夜のライトアップが実施されていることもあり、観光客が数組いました。中にはカップルの姿も。

代表的な観光地はどちらも人があまりいませんでしたが、それにより厳かな雰囲気を醸し出していました。日本建築と西洋建築の両方を楽しめるのも山口市ならでは。

さらに、市内を流れる「一の坂川」ではホタルを鑑賞することができます。県庁所在地でありながらも落ち着いていて、豊かな自然が残されていることは山口市の魅力です。

一の坂川にはホタルも生息
山口市は行政の中心

山口市はそもそも、山口県の県庁所在地ではありますが、人口や経済規模では下関市が上回っています。下関市の人口約25万人に対して、山口市の人口は20万人弱。東京都や京都府では人口の5割近くが県庁所在地に集中しているのに対して、山口県では1割程度しか県庁所在地に住んでいません。これは決して悪いことではなく、行政の中心と経済の中心が違うことによって、バランスが取れているといえます。満遍なく県下を発展させる戦略と捉えることもできるのです。


市役所の定住促進課の方は、山口市を「地震など災害が少なく、何でもそろっているほどよい田舎」と表現しています。「快適に生活する上で、車は必須ですが、道路も広くキレイで運転しやすく、中心部から周辺部へのアクセスの良さも抜群です」と分析します。

山口市の中心部を通る国道9号

山口市と防府市をほぼ直線で結ぶ国道262号
山口市で夜ごはん

19時を回り、お腹が空いたのでバスで山口市中央商店街へ。多くの店がシャッターを閉めており、困り果てていたところ、たまたま閉店作業をしていた方がオススメしてくださったのが魚屋「波柄」さん。一見、普通の魚屋さんですが、店内を抜けて裏手に回るとなんと隠れ家的な居酒屋が。山口県の特産品、フグはやはり美味しい。そして、お店の方にオススメされた唐揚げがこれまた美味しい。甘ダレに魅了されて、箸が止まりませんでした。


オススメドリンクの「タンカンサワー」はヨーグルトのような甘さとコクが絶妙です。タンカンはポンカンとネーブルオレンジのあいのこ。美味しくないわけがない。味わって飲んでいると、隣の席の女性が話しかけてきました。「それ、奄美の母が1人で作ったんです。私も摘んだんです」。驚きの出会いも、古くから下関港を通じて日本各地からヒトやモノが集まってきていた山口県ならではだったのかもしれません。

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