五島列島、壱岐島、対馬をはじめとする多くの島を有する風光明媚な県、長崎県。日本で最も島が多く、島国を代表する県の1つです。面積は北海道の約20分の1にも関わらず、海岸線の長さは北海道に次ぐ全国2位で、北方領土を除けば日本一。長崎県には海から15㌔以上離れた場所がないほか、海に面していない自治体は波佐見町しかありません。海と共生する長崎県の魅力を発見すべく、2日間の弾丸日程で県内全ての離島自治体を訪れてみました。
旅程
0日目
飛行機 成田ー福岡 7:10〜9:15
レンタカーで志免町、須恵町、粕屋町、久山町、篠栗町、大野城市、春日市、筑紫野市、那珂川市ドライブ
1日目
九州郵船 博多ー厳原0:05〜4:45
九州郵船 厳原ー博多 15:25〜20:10
フェリー太古 博多ー福江 23:45〜08:15
2日目
九州商船 福江ー長崎 11:45〜16:05
飛行機 長崎ー成田 19:20〜21:15
0:05 博多港(福岡県福岡市)
1日目は大学の先輩と博多で食事を済ませた後博多港へ。チケットを購入し、船に乗り込むと意外なまでの静かさに驚きました。時間が時間だけに無理もないかもしれません。ほとんどが中年以上の方で、自衛官が2割程度を占めているように感じました。これは後述しますが、対馬市が国境の島であり、国防の最前線だからだと思われます。乗客はざっと50〜60人程。快眠を約束する毛布は1枚50円、枕は無料です。私の隣では「(なぜ夫婦で)1枚にしたのおぉ。2枚にしてよぉ」とおばさんが声を漏らしていました。
2:15 芦辺港(長崎県壱岐市)
主要6島の1つである壱岐島に到着。まだ真っ暗闇ですが、乗客があくびをしながら下船していきます。
4:45 厳原港(長崎県対馬市)
国境の島、対馬に到着。まだ早朝のため、嬉しいサービスとして船内で7時まで休憩することができます。「船内で休まれる方はいませんかー!」船員が点呼を取りますが、1人も手を挙げません。もう少し寝ていたかったのですが、私1人のために客室を開放していただくのは申し訳なかったの下船することに。2時間くらいどうにでもなりますし、途中下船はできないので身動きが取れなくなることも気がかりだったのでちょうど良かったかもしれません。
この日の日の出は5時14分。歩いて美しい朝焼けが見れそうな高台を目指します。下船すると6月下旬にも関わらずセミが元気よく鳴いていてビックリしました。早朝でしたが、港には送り迎えのクルマが何台か停まっていました。久々の再会に心躍らせる人々の姿も。
港から少し歩くと、ドラマで見るような整然とした新興住宅地がありました。その景色には似合わない威勢の良い「こけこっこ〜」が島内に鳴り響きます。
高台にある「漁火公園」から海を望むと、韓国のすぐそばまでやってきたのだなと実感します。既に博多より近いかも。日の出も大変美しく、「そういえば、歴史の授業で日出ずる国と習ったっけ」と不意に思い出しました。
日の出を見終えて、何をするか迷いましたが、以前から海を見ながら時間も考えずに寝ることに憧れがあったので、ベンチの上で寝転んでみました。予定もない1人旅だからこそ、そんな夢も叶えられます。
広すぎる青空。雲に手が届きそうです。公園などで寝転んでいる人は目の前にある海でもなく山でもなく空を独り占めしていたのだと気付かされました。下船した時には「涼しい」と思いましたが、すでに気温は26度。連日35度を記録する異常気象が続いていたからか体の感覚が麻痺しているようです。
放っておくと溶けてしまいそうだった昨日大野城市で買ったマンハッタンを腹ごしらえに食べます。一口噛んで硬さにビックリ。食べたことのないパンです。ドーナツのオールドファッションを硬くしたような感じで、クセになります。口の水分が奪われるので注意。
まちが動き始めるタイミングを見計らって市街地の厳原に向かいます。東横インがそびえ立つほか、マックスバリュ、モスバーガー、ファミリーマートなど本州で見慣れたチェーン店も立ち並び、想像以上に都会でした。まちのあちらこちらにハングル表記があります。
島民の方は温かく、すれ違った時のあいさつはもちろん、道路越しに手を振り合う人やクルマのすれ違いでクラクションを鳴らし合う人も。
「厳原八幡宮神社」を参拝した後、「観光情報館ふれあい処つしま」で情報収集を済ませ、「萬松院」、「清水山城」を訪れました。
対馬は独自の文化を育んでおり、ご当地グルメも魅力。「ろくべえ」「いりやきそば」「生アナゴ」「かすまき」などをいただきました。お腹いっぱいになったところで船の時間を迎えます。
15:25 厳原港(長崎県対馬市)
半日ほどで対馬を離れます。
17:30 郷ノ浦港(長崎県壱岐市)
再び壱岐島へやってきました。昨晩は真っ暗闇でしたが、美しい島の全貌が明らかに。壱岐市は対馬と九州の間に浮かび、大陸と九州の交流の架け橋となってきた島です。
20:10 博多港(福岡県福岡市)
「うどん酒場 福福」さんで夕食。トウモロコシのかき揚げが美味しく、塩をつけるとビールが進みます。福岡らしい「ごぼ天うどん」。ふにゃふにゃのうどんは良くダシと絡み合います。ごぼ天とうどんが合うのか半信半疑でした。やはり、一口かじると予想通りゴボウと衣が分離してしまいましたが、ダシを吸った衣とゴボウの相性は抜群。
博多といえば屋台ですが、屋台と一口に言ってもバーやコーヒーを出すオシャレな店までバリエーションは豊富です。
23:45 博多港(福岡県福岡市)
お次はフェリー太古に乗り、福江港を目指します。
3:55 宇久港(長崎県佐世保市)
4時前に照明が灯り、アナウンスで叩き起こされ。なお、フェリー太古が寄港する各港には下船者用の無料仮眠所が用意されているそうです。
4:40 小値賀港(長崎県小値賀町)
小値賀港はちょうど日の出を迎えようとしていました。まるで"オレンジの水墨画"のような美しい光景でした。
5:40 青方港(長崎県新上五島町)
青方港で見た朝日は満月と見間違うほどまん丸で大きくてくっきりとしていました。博多からの船旅でしたが、青方港でほとんどの人が降りました。8割埋まっていた(30〜40人程度)スタンダード席は私を含めて2人だけに。
フェリー太古のハイライトの1つが中通島と若松島の間の「若松瀬戸」。谷が海に沈んでできた「溺れ谷」には大小30の島々が点在し、海上クルーズで美しいリアス式海岸を堪能できます。
7:25 奈留港(長崎県五島市)
8:15 福江港(長崎県五島市)
最盛期には9万人の人口を擁しただけあって、長崎県の離島では一番栄えていると感じました。
午前10時。武家屋敷通りを散策していると、「ふるさと館」の館長に声をかけられました。「五島うどんが食べたい」と伝えると「シェフが今来たので交渉します」と返答してくれました。建物の奥から「五島うどんを食べていないのが心残りなんだって!」と交渉する声が聞こえます。数分後、オッケーをもらえたようで、館長が笑顔で戻ってきました。何と、11時30分から営業開始にも関わらず、11時45分に出港する長崎行きのフェリーに合わして調理場に立ってくれたのでした。
名産の椿油を塗り込んだうどんはツルツルでシコシコ。あっという間に完食しました。
11:45 福江港(長崎県五島市)
館長のおかげで船に間に合いました。さあ、長い船旅も終盤です。
12:25 奈留港(長崎県五島市)
前島のトンボロが見えたらラッキー。奈留瀬戸にできた長さ約400㍍の砂州です。
13:25 奈良尾港(長崎県新上五島町)
16:05 長崎港(長崎県長崎市)
女神大橋が見えてきたら船旅もいよいよクライマックスです。「鶴の港」の異名を持つ長崎港を囲むようにして、すり鉢状の地形に住宅が立ち並ぶ光景は芸術的で情緒的。
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