新発田藩藩主・溝口氏が居城する新発田城の城下町として発展した新発田市(しばたし)。
新潟駅を経由し、22時頃に西新発田駅に到着。突然の豪雨に見舞われ、鳴り響く雷に身の危険を感じる中、約2㌔先の宿まで足速に向かいます。傘は用をなさず、横殴りの雨で体は濡れ、靴の中までびっしょり。後日調べると、新発田市内には避難指示(警戒レベル4) が出され、19棟が床下浸水、五泉市では床上浸水が発生するなど大きな被害が出たそうです。
シャワーを浴びて仮眠を取り、4時前に外に出ると、まだ強い雨が降っていましたが、5時には上がりました。時折、空が雷で光りましたが、天気の神様に祈りが通じたのでしょうか、新発田市は穏やかな朝を迎えようとしていました。新発田城などを巡りながら、今日1日の旅路への期待が膨らんで心が晴れやかになり、水溜りまで美しいと感じます。
しかし、新発田駅に到着して呆然。電光掲示板を見ると、私が乗ろうとしていた5時19分発羽越本線村上行きの始発電車が「運休です」と書かれていました。「んなアホな」。心の声が漏れそうになります。他にも女性1人、スーツ姿の男性1人が運休に頭を抱えていました。
女性駅員に聞くと、昨夜の豪雨で阿賀野川の水位が下がらず、新津方面から来る電車が橋を渡れないそう。次の電車は6時47分発と1時間以上先で、運行される保証はありません。村上方面からの折り返し運転もなく、時間だけが過ぎていきます。
この日行こうとしていた粟島へは1日1往復しかフェリーが出ていません。9時出港のフェリーに乗るには、8時30分には岩船港に到着していなくてはなりません。岩船町駅から岩船港までは3㌔。路線バスがありますが、連絡していないので徒歩で行かねばならず、8時には岩船町駅に到着する必要があります。となると、6時47分発の次、7時24分発7時54分着の電車には何がなんでも乗らなくてはいけません。
レンタカーを借りて港に向かおうか。しかし、店舗の営業が8時からや9時からしかなかったので断念。タクシーに乗ろうか。駅前に一台やってきたので、「5000円くらいで岩船港までいけませんか」と軽い気持ちで尋ねると、「無理無理。1万円は超えるよ」とあっさり返され、保留。次々と愚策が頭に思い浮かびます。
7時にもなると、ホームは人で溢れかえっていました。半数近くは制服を着た中高生。「今日帰ったら何しよう」、「一緒に遊ぼう」。サラリーマンや主婦の疲れ果てた姿と、運休の文字に目を輝かせ、青春を目一杯楽しもうとする若者の熱気が交錯します。私も死んだ目をしていましたが、「こんなに喜ぶ子たちがいるなら運休でもまあいいか」と前向きな気持ちになりました。
フェリーへのタイムリミットが迫る中、目をつけたのが白新線です。新発田駅には新潟市内陸部の新津から秋田県を結ぶ羽越本線のほかに、新潟市中心部と新発田市を結ぶ白新線が乗り入れています。白新線は一部の列車が動いていました。
「粟島と、次の日行こうとしていた佐渡島の日程をひっくり返せばいけるかも」。そうと決めると、レンタカーやフェリーを急いで再調整し、新発田市から佐渡へ向かいます。
翌日には新発田市から始発で無事に粟島にもいくことができました。
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