【今回のテーマ:渋滞】
ゴールデンウィークやお盆、年末年始になるとよく見かける渋滞のニュース。「工事や事故でもないのに」と不思議に思うことがあります。そこで今回は、高速道路会社で働く方に渋滞の原因と解決策をお聞きしました。
渋滞のメカニズムと原因
渋滞のメカニズムはブレーキの連鎖です。「ブレーキだけで渋滞が起きるわけないやないか」と疑問に思う方も多いでしょう。例えば、時速70㌔で走っていたクルマが時速60㌔に減速したとします。すると、後続のクルマは車間距離を保つために時速50㌔に減速します。さらに後続のクルマは時速40㌔まで減速します。減速の連鎖で、最後にはクルマが止まってしまうのです。少し極端かもしれませんが、これが渋滞の起きるメカニズムです。では、なぜブレーキを踏んでしまうのでしょうか。原因を5つ紹介します。
①サグ渋滞
上り坂、下り坂から上り坂に変わる場所で知らず知らずのうちに減速することで発生します。サグとはくぼみ・たわみを意味する英語のsagのことです。
②ボトルネック渋滞
合流や工事による規制で車線が減少することにより発生します。ボトルネックとはペットボトルの首のこと。
③トンネル渋滞
トンネルの入り口で急に暗くなることに加えて、トンネル内では圧迫感があるために発生します。阪神高速7号北神戸線では、路側帯を広くしているために圧迫感が少なく渋滞があまり起きないそうです。車線を増やさなくても渋滞が減ることには驚きです。
④IC渋滞
一般道の信号や渋滞が高速道路にまで影響を及ぼすパターンです。インターチェンジ(IC)でよく発生します。料金所での渋滞はETCの普及により減少しました。
⑤脇見渋滞
事故や工事をしている車線ではボトルネック渋滞が起きます。その対向車線では何も起きていないにも関わらず、脇見をするために渋滞が起きてしまいます。
渋滞を避けるには
できれば渋滞には巻き込まれたくないもの。ドライバーが心がけるべき点を5つ紹介します。
①時間に余裕を持つ
高速道路会社の方が「1番大事なこと」と強調します。②以降の大前提になります。急ぐクルマが道路の秩序を乱します。しかし、「急いでいるから高速道路を使っているんだ」というドライバーの意見も多く、日々葛藤しているそうです。
②車間距離を保つ
すべてのクルマが車間距離を保つことができれば渋滞は起きません。適切な車間距離を意識しましょう。
③キープレーン
不要不急の車線変更は避けましょう。無理な車線変更は後続車がブレーキを踏む原因となってしまいます。
④速度回復
上り坂やトンネルでスピードを落とさないように心がけましょう。万が一スピードが落ちた場合は速度回復に努めます。最近では、速度回復を促す看板も増えています。
⑤交通集中の分散
高速道路会社などが発行するガイドブックなどを参考に出発をずらすことで交通集中を分散させることができます。
【おまけ】
渋滞の定義
意外と知らない渋滞の定義。高速道路の場合は、「時速40㌔以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、1㌔以上かつ15分以上継続した状態 」と定義されています。トラフィックカウンターでクルマの速度を測定して、距離を出しています。業界用語ではトラカンというそうです。トラカンの情報はすべてJATICに届けられます。事故の情報なども警察とJATICに即座に報告されます。実は高速道路会社やその他の民間企業が渋滞のリアルタイム情報を提供することはできません。JATICがリアルタイムに一元管理することで、早くて正確な情報をドライバーに届けることができます。
渋滞の最長はなんと!?
日本で観測された史上最長の渋滞はなんと154㌔。1995年12月27日に名神高速道路の秦荘PA(滋賀県)から東名高速道路の赤塚PA(愛知県)まで県をまたいで発生しました。原因は豪雪。解消されるまでに23時間かかったそうです。
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