先日、群馬県高崎市の回で、交響楽団について触れました。現在、日本には、33の交響楽団があります。しかし、その多くは存続の危機に立たされているようです。なぜなのでしょうか。問題点を整理し、3つにまとめてみました。
①大都市に偏在している
正会員25団体のうち、9団体の拠点が東京にあります。また、東京、名古屋、大阪だけで正会員の過半数を占めます。3大都市圏以外の人には親しむ機会が少ない状況になっています。
②財政基盤がぜい弱
固定給を導入したり、演奏会を年間10回以上開催するなどの条件を満たした正会員は25。正会員のほとんどが助成金なしでは活動できない状況に陥っています。目玉は年末の風物詩「第九だけ」という交響楽団も多いです。
③地域社会との結び付きが希薄
あなたのまちに交響楽団はありますか?欧米では交響楽団が都市のシンボルとも言える存在になっていますが、日本では存在自体が知られていないこともしばしば。私も地元の兵庫県西宮市に交響楽団があるとは知りませんでした。いや、小・中学校のときに音楽鑑賞会でお世話になったはずです。そのことすら忘れてしまっているのが現状です。これを機に、交響楽団に親しみを持ってみようと思います。
【正会員の所在市町村一覧】
北海道札幌市
宮城県仙台市
山形県山形市
群馬県高崎市
東京23区(9団体)
神奈川県横浜市
石川県金沢市
愛知県名古屋市(2団体)
京都府京都市
大阪府大阪市(2団体)
大阪府堺市
大阪府豊中市
兵庫県西宮市
広島県広島市
福岡県福岡市
【参考文献】参議院調査室「調査と立法」2016年12月号「日本のオーケストラの課題と社会的役割」
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