1月下旬は1年で最も寒い時期とされます。2023年の冬は特に冷え込みが厳しく、気象庁が緊急会見、メディアは「今季最強寒波」「10年に1度の寒さ」と報じ、北海道から九州までのほぼ全域で氷点下を記録。全国各地の一般道や高速道路で立ち往生が発生し、JR西日本の電車では乗客が最大10時間近く車内に閉じ込められ記者会見で謝罪するに至りました。
「もう寒さに耐えられない!」と避寒地として目をつけたのが石垣市、竹富町、与那国町で構成される沖縄県の八重山諸島です。石垣市は平均最高気温が20度を下回る月がなく、1年を通して温暖。成田空港から石垣島へ飛び立つことにしました。
石垣市は八重山諸島の中心都市で日本最南端かつ日本最西端の市で、竹富町は日本最南端のまち、与那国町は日本最西端のまちです。
成田空港から新石垣空港まではおよそ2時間半。成田空港が15時時点で気温8度(朝は1度でした)だったのに対して、新石垣空港は19時時点で19度ですぐに上着を脱ぎ捨てました。
市街地のバスターミナルへは東(あずま)バスで移動します。空港ーバスターミナル間はかなりの本数のバスが出ており、時間によっては15分に1本出ているので安心。運賃は540円で乗車時間は30分ほど。1日フリーパスが1000円なので、3日目にフル活用することにします。車内には肥料の匂いが充満。若い女の子たちが「くっさ」と連呼していますが、これも旅情。
八重山諸島は日本で1番日の出と日の入りが遅いエリアです。石垣市は日本最南端の繁華街で、美崎町(みさきちょう)は夜遅くまで賑わっているため、19時着の飛行機でも十分楽しむことができます。
石垣市で最も交通量が多い 「730交差点」。沖縄県が本土復帰を果たしてから6年後となる1978年7月30日、右側通行から左側通行に変更されたことを記念した石碑が建てられています。歴史的な作業はたったの8時間で行われました。
2日目は起きてすぐ石垣港へ向かいました。
尖閣諸島に関する展示があるので興味のある方はのぞいてみて下さい。「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり、領有権の問題はそもそも存在しません」と力強く記されていました。
石垣市が生んだボクシング世界チャンピオンの具志堅用高さんのモニュメントがあり、観光客がポーズを決めて記念撮影をしていました。
7時30分出港の始発のフェリーで日本最南端のまちである竹富町(たけとみちょう)に向かいました。
日本最南端の島である波照間島(はてるまじま)をはじめ、竹富町の各島が石垣港とフェリーで結ばれています。
特に、竹富島へは小さな船に揺られて10〜15分程度で行くことができ、フェリーの本数も多いので石垣島で少し時間が余ったという方にもピッタリ。短時間なので船酔いの心配も少ないです。とはいえ、港を出ると結構なスピードでぶっ飛ばし、小さい船に当たった場合はかなり揺れます。運賃も往復1340円(2022年現在)とリーズナブル。
下船すると思わず笑ってしまうほどの強風。旅人のお兄さんにも「すごい風ですね。お気をつけて」と話しかけられました。
竹富島といえば沖縄の原風景が残っていることが最大の魅力。特に、「なごみの塔」から見た赤瓦屋根の景色は私たちがイメージする沖縄そのもの。竹富島には作り物ではない、これぞ沖縄という景色が待っています。
竹富島では水牛に乗ることができます。早朝だったため乗れませんでしたが、張り切って準備をしていました。
美しい海を一望できる「西桟橋」はまさかの工事中。それでも周辺や金網越しから景色を楽しむことができました。
8時50分の便で石垣港に戻り、次は日本最西端のまちである与那国町(よなぐにちょう)を目指します。
「フェリーよなくに」は週2便で片道4時間。「ゲ◯船」と異名を持つほど揺れます。ほかのフェリーとはターミナルが異なるので気をつけて下さい。
9時20分。八島フェリーターミナルに行くと衝撃の事実を知らされます。なんと本日便は欠航。スマホを開いて飛行機を調べると10時15分発のJAL与那国空港行きと18時50分発の石垣空港行きが1席残っているではありませんか。もうバスは間に合わない。慌ててタクシーに飛び乗り空港へ。飛ばしてくれたおかげで9時55分に到着し、飛行機にも間に合いました。タクシー代は2810円、飛行機は往復で16800円。フェリーは往復だったので思わぬ出費ですが、この機会を逃すと次はいつ来れるかわからないのでやむなしです。「ゲ◯船」にも乗らなくて済みました。しかし、この選択が最悪の事態を招くことに。
30分ほどで与那国空港へ到着。フェリーよなくにのホームページを覗くと、欠航のお知らせが11時50分に更新されました。出港の予定時刻を2時間近く過ぎています。ゆるい。
与那国島には無料の路線バスが運行しており、観光客も利用できますが、今回は最西端の島をしっかりと踏みしめるために歩いて1周することに。一周28㌔約6時間。
まずは1時間30分かけて6.8㌔先の「東崎(あがりざき)展望台」へ。
島を歩いているといろいろな動物と出会えます。特に多いのが馬。島の道路には馬が外に出ないための溝である「テキサスゲート」が設けられているので特にバイクはハマらないように注意が必要です。道路は馬糞まみれ。
東崎は風が強すぎて灯台には近づけませんでした。馬も身を寄せ合って木陰に隠れています。
「立神岩」などの奇岩を見つつ、1時間40分かけて次に向かったの7.7㌔先の「Dr.コトー診療所」。誰もいないので、良心で300円をタッパに入れます。"診察券"が貰えるのが嬉しいです。原作を見たことはありませんが、病院の再現度の高さと雰囲気に飲み込まれました。待合室でナースさんに名前を呼ばれそうな錯覚に陥ります。ドラマで使われた自転車やポスター、カルテもそのまま残っていました。原作を見てみたくなります。
最後に、1時間12分かけて5.8㌔先にある日本最西端の地「西崎(いりざき)」へ。天皇陛下も訪問されており、石碑には「天皇は日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅が大切な天皇の象徴的行為と述べられ与那国島訪問も強く希望され、実現した」と記されていました。
ちなみに、東崎と西崎、それぞれ難読地名ですが、東から日が昇るなら「あがりざき」、西に沈むから「いりざき」なのです。
ここまで来ると、石垣市との距離よりも台湾の花蓮市との距離の方が近いそうです(118㌔と111㌔)。
ここでスマホに残念なメールが。なんと強風で飛行機が欠航し、急遽島から脱出できなくなってしまいました。最果て恐るべし。パニックに陥り、暴風の中での野宿も覚悟するほど冷静を保つことができなくなります。とりあえず、バスに乗り空港へ。17番の整理券を渡されますが、次の日の3便も全て満席と絶望的な状況。
「何とか宿だけは」と祈りながら電話を片っ端からかけると3軒目で部屋が取れました。ネットでは満室でも、電話だと取れることもあるらしいです。宿の方はたまたま空港にいたので、そのままジムニーでピックアップしてもらい、とりあえず一安心。人生初のゲストハウスは破格の2500円。
たくさんの出会いがあり、欠航になって良かったかもしれないと思える夜を過ごしました。仕事で訪れた男性、ダイビングに魅了された女性、日本の鉄道網を塗り潰した青年、星を見に来た女子大生、とにかく暖かい場所を求めて来た主婦。『Dr.コトー診療所』を観ながら(コトー先生が船の揺れを抑えて治療に集中するためにエンジンのキーを抜いて海に投げ捨てたシーンが印象的でした)名産の泡盛「どなん」「与那国」を楽しみ、気付けば日付が変わっていました。
翌朝。キャンセル待ちで空港の受付に行くと…貰えました!9時15分の便のチケットがすんなり手に入りました。これで与那国島を脱出できます。うれしいような、寂しいような。
約30分のフライトで石垣空港に到着。東バスの1日フリーパスを購入し、まずは市街地へ。「ゲンキ」の牛乳を飲み、「来夏世(くなつゆ)」さんで八重山そばを食べ、「いしなぎ屋」さんで石垣牛をいただきました。石垣牛は甘みが強く柔らかかったです。さっと炙るだけ。カルビが優勝。ちなみに、沖縄の焼肉ではゴーヤも焼きます。なぜか店内BGMはクマのプーさんでした。
腹ごしらえが済んだところでバスに乗り石垣市を代表する景勝地「川平湾(かびらわん)」へ。グラスボードに乗ることもできます。
帰りは一本マングローブに立ち寄りました。系統⑧西回り伊原間の川平公園前13時37分発に乗り、元名蔵で13時50分に下車。マングローブを見た後、系統⑨川平リゾートライン石垣やいま村入口14時12分発に乗りバスターミナルへ。川平湾とバスターミナルを結ぶリゾートラインも本数は多いほうですが、これを逃すと3時間以上バスが来なかったので間に合って良かったです。
石垣市の市街地にはマクドナルド、ドン・キホーテ、コンビニ、スーパー、家電量販店、ドミノピザなどなんでもあります。特にファミリーマートが多いです。
【日程】
1日目
ピーチ成田1515ー石垣島1915
2日目
朝竹富島
×フェリー石垣島1000ー与那国島1400
JAL石垣島1015ー1050石垣島
×JAL与那国島1850ー石垣島1920
28
JAL与那国島0915ー石垣島0945
ピーチ石垣島1955ー成田2240
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