書店で「未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること」という興味深いタイトルを見つけました。そこには目を背けたくなるような内容が記されていました。もし、私が訪れた思い出のまちが消滅してしまったら。
人口減少は2段階
日本の人口減少は2段階で進みます。2042年までは若者が減る一方で、高齢者が増え続けます。しかし、2043年以降は若者も高齢者も減り人口は急落します。現在は第1段階の真っ只中です。今でさえ深刻に受け止めているのに、人口減少に拍車がかかる未来予測にはゾッとします。ほんの一例ですが、北海道歌志内市の人口は2045年に813人になると予測されています。
戦略的に縮む
筆者が提唱するのは「戦略的に縮む」こと。47都道府県の枠組みの維持が厳しくなっている今、日本は縮む道しか生き残る道はないのかもしれません。イタリアのソロメオ村はドット型国家の成功例として挙げられていました。
ストロー現象
東京都が人々を吸い上げる力は相当なものです。東京都への転出超過1位は人口3位の大阪府。西日本からいくら人をかき集めても、それ以上に東京都に吸われるという構図ができあがっています。名古屋圏、北陸から人を吸い寄せる愛知県、道内から人を吸い寄せる札幌市、東北から人を吸い寄せる仙台市、中国地方から人を吸い寄せる広島市でも同じような現象が起きています。福岡市に至っては政令指定都市である北九州市や熊本市といった大都市の人すらかき集め、東京都に吸い上げられています。いかに東京都に吸い上げられないようにするか、いかに地方中枢都市に吸い上げられないようにするか、が今後の課題となりそうです。
私の高校時代の部活動の同期も、5人全員が大学卒業後5年以内に育ったまちを巣立っています。神戸と大阪に挟まれ、生活環境に恵まれた地域でもこのような状況。人材サービス王手のパソナが発表した本社機能淡路島移転は東京一極集中の解消に一手を打ちました。転勤を希望しない人には文字通り島流しであり、地元住民への負担も大きいかもしれない一方、新しい働き方を望む人や、これから就職を考える若者、地元の経済界にとっては魅力的なニュースです。馴染みのない人にはピンと来ないかもしれませんが、橋で神戸、四国と接続しており意外とアクセスも良い淡路島。関西人の私にとっては「アリ」です。
政策の見直しを
定住人口の引っ張り合いに意味はありません。自分の住むエリアだけうまくいけばいいという考えに付き合っている場合ではありません。外国人労働者は根本的解決に至らず、政策の見直しも必要です。筆者が提唱したのは東京圏の「特区=外国扱い」。東京圏とそれ以外で競争力を高める狙いがあります。
【参考文献】
河合雅司『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』講談社現代新書、2019
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