豊かな自然が自慢の米どころ、葛尾村(かつらおむら)。
2011年の福島第一原子力発電所事故では村内全域が計画的避難区域に指定され、全村民が避難しました。
2016年に一部の帰還困難区域を除き避難指示が解除されています。同時に、葛尾村の米でつくられた伝統的な保存食「凍み餅(しみもち)」をモチーフにしたかわいらしいキャラクター「しみちゃん」が誕生。
少しづつ活気を取り戻すまちの復興拠点「葛尾村復興交流館あぜりあ」の女性スタッフに話を伺いました。
「葛尾の米は問題なく食べられるんですけど、検査をさせられるんです。葛尾村でやって、福島県でやって2度も。福島というだけで風評被害がすごいんです。地元の人はみんな普通に食べているんですけど。葛尾の米は手作りで機械を使わないからとっても美味しいんですよ。全国的に人気なんです」
あぜりあには葛尾村の放射能検査室が併設されており、食の安全を内外にアピールしています。
話の最後をどんな言葉で締めくくれば良いかわからず、「頑張ってください」と声を掛けると、「前向きにやっております。お米のパンフレット、何枚でも持って帰ってください。ふるさと納税制度もやってます!」と笑顔で返してくれました。手間暇かかった葛尾村のお米、みなさんも是非ご賞味ください。
外に出ると、雪が降る中で男女3人の子どもたちが元気に遊んでおり、復興の光を見た気がしました。
ここで少し、葛尾村の道路事情についてお話ししようと思います。帰宅困難区域は基本的に一般車両での立ち入りができません。そのため、いざ、「行ってみたい!」と思っても道に迷ってしまうかもしれないからです。
国道399号を例に挙げます。この道は、葛尾村や県都・福島市を結ぶ重要な道路の1つ。しかし、原発事故後に浪江町側が帰還困難区域となり、葛尾村境-国道114号交差点が通行止めとなりました。
本来、道路は福島県の復興に欠かせないインフラです。
そこで、2018年に「特別通過交通制度」が適用されました。帰宅困難区域であっても、指定された道路は通行証の所持・確認を要せずに一般車両で通過できるようになりました。
ただし、故障などを除いて駐停車をしてはいけません。窓を開けてはいけませんし、もちろん外に出てもいけません。エアコンを使用する場合は室内循環です。バイクや自転車、徒歩での通行はできません。
国道459号の川俣町境-国道399号間、県道35号の国道114号-県道253号間、県道253号の県道35号-浪江町酒井地区帰還困難区域境についても同様の制度が適用されています。
国道399号が開通したことにより、葛尾村へのアクセスはグンと良くなりました。
浪江町と川俣町の境には通行規制に使用された「津島ゲート」が今も残されています。「迂回を強いられるのでは」はたまた「何をやっているんだ」と尋問でもされるのではないかと不安になり、心臓がバクバク。クルマの速度も落としましたが、何事もなく通過できました。
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