かつて、関西にはたくさんの遊園地がありました。その多くは旅客誘致を目的とした電鉄会社によって運営され、関西特有の電鉄文化を生み出しました。しかし、外資系の大型テーマパーク「ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)」が2001年に開業すると、バタバタと閉園に追い込まれました。人々の思い出の場所は今どうなっているのか調査してみました。また、実家で保存されていた入場券で当時を振り返ります。
宝塚ファミリーランド(兵庫県宝塚市)
その名のごとく、ファミリー層を中心に愛された遊園地です。1911年に開業すると、阪急電鉄の手腕によって宝塚大劇場や動植物園をはじめとする一大レジャーゾーンとして整備されていきました。まさに、総合レジャー施設のパイオニア的存在です。2003年4月7日に閉園。跡地はマンションや公園、商業施設として再開発されています。
私も子どものころは家族でよく遊びに行きました。1番好きだったアトラクションは、クラシックカーに乗ってレールの上を走るという乗り物です。ステアリングを回したり、ラッパのクラクションを鳴らして楽しんだ記憶があります。遊びに行くたびに乗せてもらっていましたが、1度だけクラクションが故障して鳴らないというアクシデントがありました。大泣きする私に父は「それくらい我慢せえや!」と激怒。男が人前でこんなしょうもない理由で泣くなんてみっともないと思ったのでしょう。私も今思うと恥ずかしいです。しかし、係員のおじさんは私をそっと抱きかかえてクラクションが鳴る別のクラシックカーに乗り移らせてくれたのです。このアットホーム感が魅力的でした。一方で、アトラクションの寿命は限界を迎えていたのかもしれません。閉園当日、小学4年生だった私は始業式を終え、親に連れられ思い出の場所に別れを告げてきました。園内を一周するモノレールも印象的でした。
甲子園阪神パーク(兵庫県西宮市)
1929年に鳴尾浜で開業し、1950年に阪神甲子園球場の隣に移設されました。阪神電鉄が運営。晩年は一部を住宅展示場にするなど苦戦し、2003年3月30日に閉園しました。跡地は三井不動産のショッピングモール「ららぽーと甲子園」となっています。入場券は見つかりませんでしたが、阪神甲子園駅のバス停に当時の名残を見つけました。
神戸ポートピアランド(兵庫県神戸市)
若者を中心に愛された都市型遊園地です。1981年に開催された神戸ポートアイランド博覧会に合わせて開業し、2006年3月31日に閉園。跡地はスウェーデンの家具店「イケア」となっています。
エキスポランド(大阪府吹田市)
1970年に開催された大阪万博に合わせて開業。ジェットコースターをはじめとするアトラクションが充実していたため、幅広い世代に愛され、USJ開業後も多くの来園者を集めていました。しかし、アトラクションの事故で一気に客足が遠のき、2009年に閉園しました。
なお、現在も関西には京阪電鉄が運営する「ひらかたパーク」や、近鉄が運営する「志摩スペイン村」など工夫を凝らして営業を続けている遊園地もあります。
【参考文献】
佐々木隆『日本懐かし遊園地大全』辰巳出版、2018
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