愛か憎しみか。今回は、日本にある「飛び地自治体」のそれぞれのドラマに迫りました。
岐阜県大垣市~税収編~
日本で唯一、飛び地が3つある自治体です。どれが本来の大垣市なんや!?と2度見、いや、3度見してしまいます。周りの自治体が合併を拒んだためにこのような形になりました。私情はもとより、岐阜県には自動車関連の工場などが多く、「税収を譲りたくない」という都市近郊ならではの側面も強かったようです。本来の大垣市は真ん中の大垣市。左から順に大垣市、中垣市、小垣市と呼ばれていたりして。
群馬県桐生市~怨念編~
合併を拒んで新たに誕生したみどり市を挟む形で誕生しました。距離が離れた自治体が合併すると、本来得られるはずのスケールメリットが減ってしまいます。それでも、嫌なものは嫌なのです。津軽半島は特に深刻で、青森県五所川原市、中泊町、外ケ浜町3つの自治体が飛び地になっています。
和歌山県北山村~絆編~
最後は少し良いお話を。「日本唯一の飛び地自治体」という地理マニアをそそる肩書きを持つ北山村。奈良県と三重県に囲まれる、和歌山県唯一の村です。北山村では、古くから木材を特産品としてきました。商品は2日~3日かけて筏で瀞峡など険しい北山川を下って新宮市で売りさばかれました。厳しい労働環境から、高収入だったそうですが、新宮市で豪遊して帰るために、北山村に帰った頃にはすっからかんだったとか。1889年、廃藩置県で新宮市が和歌山県になると、北山村は迷わず和歌山県の自治体になる道を選びました。北山村と新宮市の絆が感じられるエピソードです。ちなみに、似たようなエピソードとして山梨県道志村があります。1897年に神奈川県横浜市が道志村から水道水の取水を始め、友好関係を築いていました。2003年には道志村から横浜市に合併を申し入れ。あまりに“遠距離恋愛”だったために、こちらは実現しませんでした。
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